子守唄/
木立 悟
を思い
またひとつふたつと眠れなくなる
どこにも行けず
雪の犬は哭いている
自らを咬み血を流し
雪の犬は吼えている
空に並ぶ氷の鳥が
氷の雛を抱きしめるため
犬の涙に降りてくる
とどろきのなか
はばたきのなか
子守唄を歌えぬ人は
夜明けの光に眠れずに
子守唄を知らぬまま眠る子の
ふたつの手のひらに触れつづける
上下する冬のかけらを聴きながら
上下する手のひらに触れつづける
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