水辺 さまよい ?/木立 悟
霧刈る鋏
人工の風の音
常に遅れる秋
洞のなかの夏
空わける煙
蒼は時と雨
愛されていないほうの目で
午後を見つめる日
振り返る双子
誰も居ない径
砂の城の門
風が掻く光
土に水を重ね塗りする手が
渇き 反り返る坂を見ている
削ぐ光 折る光
語り出す枝
誰も聴かず
書き留めない
骨のうつろに
触れつづけながら
すぎるものの前をすぎるもの
どこかが同じく 異なる背が
つらなるようにつづいては消え
浮くように現われ 消えてゆく
蒼のなかで
蒼く鎔ける陽
海を巡り
冷えるかたち
双子を見つめる双子
互いのまばたきを聴く双子
遠く霞む岸
ゆらめく光
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