詩を書く/游月 昭
わりに、母の声が響く。父、父が帰って来たのだ。昼出の仕事を終えた父の声は疲れた様子もなく、甲高い。私の心が高鳴っている。一年ぶりの、生きている父の声。しかも溌剌として例によって明るい。羊水の中でなければ涙が溢れているだろう。父に合いたいと思うが、今生まれても、どうせ目は見えない。また出直して来るか。これからの時間は夫婦水入らずということで。
表の私が泣いているのが分かる。私が慰めてやるか、というより、また一つになって喜びと悲しみを分け合うか。父ちゃん、母ちゃん、この子は大人しくて、優しい子に育ちますよ。お二人なら、きっと立派に育て上げるでしょう。よろしくお願いしますよ。それでは、さようなら。お幸せに。
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