サリンジャーとドストエフスキー (現代小説と近代小説の断絶について)/yamadahifumi
る。またユーゴーなどもそうで、僕はユーゴーを一冊もまともに読んではいない。
多分、近代と現代の境目に位置するのはドストエフスキーであり、彼は最初で最後の、空前の大作家であったと僕は考えている。それ以前に彼に比肩できるのはシェイクスピアだ。僕はとりあえずの所、そう考えている。…では例えば、夏目漱石は近代作家か、現代作家かと言われると、僕はぎりぎり近代作家ではないか、と思っている。その辺りの事を少しばかり説明してみよう。
僕が漱石を近代作家だと思うのは、漱石の「それから」の主人公、その悲劇というのは、主人公の自意識、知性によって起こるものではあっても、その悲劇は、自意識、あるいはそ
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