あまりにも夏/
千波 一也
夏至が過ぎた、と思うと
こころが細る
なにも
急激に夜が押し寄せるわけではないし
夏本番を迎えてさえいないのに
こころは焦る
やりたいことと
やらねばならぬことと
両方を隔てなく在らせてくれるような
陽射しの寡黙さが好きだ
形を持たずとも
輪郭を覚えさせられるような
一瞬たちの
無言の明滅が好きだ
わたしの本質は
あまりにも夏だったのだろう
幻も約束も優しさも
影も時間も愛しさも
抱き締めずにはいられない
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