口下手太郎/栗山透
 
仕事終わった夜のさ
 街灯の光の下だと、やけに色っぽく見えるんだよな
 なんでかな?肌が白くてちょっと気怠げで

 外は車とか走っててうるさいし、
 声も小さくてあまり聞きとれないんだけど
 でも、白い小さな光の下で、そこにいるだけで
 なんだか良いんだよなぁ」
 
「彼女、猫みたいですよね」

「猫よりずっと良いよ」

要らないのかもしれない
僕には本が読める部屋と
多少のお金と
猫でも一匹
いや、
猫も要らないのかも

だって 愛の押し売りは恐ろしいし
夜の張りつめた指先は嫌いだし

でも

君はこっちを見てる
僕もいちおう見てる
今、何を話せばいいのか
戻る   Point(0)