ごめんねチクロ/ichirou
 
小学校2年生の時
大好きだったチクロ
世間の皆にチクロが後ろ指さされるまで
名前を知らなかったチクロ
十円や五円の駄菓子にも
たっぷり喜びをまぶしてくれたチクロ
今から思えば冤罪だったのだろう
疑わしきは罰する安全社会の中で
なす術もなく消滅したチクロ
でも僕はチクロっていう名前に愛着がって
何十年も経っても忘れていない

小学校2年生の時
甘くてやさしかったチクロをいじめる大人たちは嫌いだった
母親はチクロが悪いやつだから気をつけなさいという
僕はそれでもチクロが大好きだった
今となっては
チクロはきっと怒ってはいないだろうけど
もう僕らに愛想をつかしているだろうね

小学校2年生の時
ちゃんと歯磨きしなかった僕は
チクロがいなくなってすぐに
奥歯が虫歯だらけになった
もちろん悪いのは僕で
当時の大人も悪くない
今でもたまに奥歯が痛くなると
思うんだ

こめんねチクロって


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