押し黙る床に吹く風は/ホロウ・シカエルボク
永く埋もれた時の中で
色褪せた血塗れの死体がひとつ息を吐く
その吐息に色をつけるとするなら
やはり釈然としない灰色に違いない
まるで幾日も眠ってないような目をして
荒れた心の奥に佇んだプレシャス
風の中に神様は
ただ気が利いているというそれだけの言葉を残した
もしもとても入りくんだ場所でわずかな空を見上げているなら
そんな贈り物は届くはずがないさ
かすれた声が酷く痛々しくて
時々堪らなく痛ましい気持ちになるけれど
許しておくれ、すべてのものが満たされるほど
小器用には生きてこれなかったんだ
穴ぼこだらけの掌には、こぼしてきたものの感触だけが
こぼし
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