マトラカ/
草野春心
あなたの意識の薄明のなかで
一匹のアルマジロがその躯を捩(よじ)った
川辺には大小様々の板が砂を冠りねむっている
樹々に秘められた古くからの熱と
物語の奮えを攫った風が ひとしきり鳴動したのち
夜の乾いた表皮が次第に水を含み張ってくるのを
知ってか知らずか その生き物は瞳を丸くする
だが月を容れるには小さすぎるのだ あなたの瞳は
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