破れた袋/草野春心
 


  破れた袋から
  薄暮(はくぼ)がこぼれていく
  それは一度として充ちたことがない
  夕風を控えめな紅に染めはするが
  あのときあなたが入組んだ顔で
  言いかけたことばの切れ端のように
  それは 辺りに 散らばっている



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