ホイップクリーム/藤鈴呼
 
 動かさずに 魅せるんだ

嗚呼 色々 ちょこまか し過ぎたから
堪え性が 無かったかな

肉眼には 叶わぬと 知っていても
見落としがちな 一瞬の 結晶に
心 奪われながら
ゆっくりと 頷いた 冬の一コマ

丸い ドーナツの上で
トッピングの キミが わらう

早く 頬張らないと 
溶けて しまうよ なんて
追いかけっこを するかのように

ゴリラ観音の 手前では
丸い放物線を 描くかのような
杭と仕切りロープの 内側に

四角い デコレーションケーキみたいな
ホイップクリーム 

こんなに 大きい クリームならば
一発で 胃もたれて しまいそうだけれど

出来るならば 一度
ほおばって みたいな

笑顔で もぐもぐ
沢山の 砂糖の代わりに
繊細な 雪を 見詰めながら
もう一度 赤いボタンを 押した

今度は ゆっくり じっくりと
時間をかけて
堪能して もらえましたか

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