キングコング岬 ★/atsuchan69
 
ら、こうもり」と言った。つまり言葉にしていけない文字である淫らなアナタへの愛の告白で、さらに「人がもしその頭から毛が抜け落ちても、それがはげならば清い」とも言った。記憶のなかでは見てはいけないアレの端末は、詩人で魔法使いでもあった。彼が「時よ止まれ」というと時間は止まり、「時よ動け」と言うと時間はふたたび動き出した。たった今、束の間に、この部屋にいて、すべての許されない事柄は、けして言葉にも映像としてのイメージにさえもなりえないタブーの領域に封印されていた。それでも窓の外を覗くと、あの日の波の音ともに見てはけないアレの端末とふたり岬の先端から眺める夕映えの海の景色がよみがえった。彼は言った、「イメ
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