羽根/アンドリュウ
 


妻はしばらくはねの感触を愉しんで
それを棄ててもいいかときいた
私はおどけた顔で軽くうなずいてわらった
近くでよく見れば顔は歪んでいたはずさ

犬と二人でゴミ置き場に並ぶ
沢山のごみの袋を見ていた
右から三番目の袋から
私のはねが少し飛び出していた
手とってからだに付けてみたい
そんな気もしたけど
もう飛べない事は嫌になるほど自覚していた

やがてゴミ収集車が来て
あっけないほど簡単に
はねはタンクの中に
他のごみと一緒にローラーで
粉砕され詰め込まれていった

ベキベキとはねの折れる音が
耳に届いた時
微かな痛みを肩に感じた

道の向こうには夕陽があり
ゴミ収集車はそれに向かって走リ去った
頬をつたう一筋の涙は
哀しかった訳じゃない

ただ 夕陽が眩しかった

だけさ…

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