ルオー/soft_machine
るまで。そう信じて、限りあるいのちをこめてルオーは描き、待っていたのだろう。
人にこんな話を聞かせたところで、眠りの足りない、疲れが見せたまぼろしだと笑われるだろう。それでもいい。たとえそれがまぼろしであれ、私には彼女の声が聞こえたのだから。
画家が死んでなお、命をもった絵は生きつづける。私が死んだ後にもだ。いつかまた、誰かが彼女の前でその声を聞くこともあるだろう。
ならばこのカンバスも、いつか命を宿すだろうか。
私は、ぐっとひとすじ、光を加えた。
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