灼熱の化石には肉体の名残は無い/ホロウ・シカエルボク
時は捲れて机の上
日に焼けて、みすぼらしくて
風が吹くと啜り泣く
紐の解けるような音で
雨に濡れそぼつ街が、ほんの少し
友達のように思えたのは
そんな風に立ち尽くした夜が、自分にもあったこと
そんなことを
思い出したせいだろう
梅雨の晴れ間は
不思議なくらい静かだね
耳を片方
持っていかれたのかと思うくらい
時々
冥界なんじゃないかって、そう…
ぶるっと震える
甘い香りみたいな神様が
そんな夜の中
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