広場の朝_Ldn./藤原絵理子
 

夜が明けたよ
夜更けまで降っていた
淋しい雨も いつの間にか上がって
ギャラリーの軒下に逃げていた鳩たちが
ライオンの頭に集まり始めた

いろんなことがあったんだよ
いわれのない憎悪や
知らないものへの恐れ
分かりあえるまでの
いくつものすれ違いが

「あたしたちは みんなで
 ひとつの船に乗って
 宇宙の彼方へ向かう 旅をしている
 この船からおりることはできないんだよ」

メンフィスのおじさんはブルースを歌ってる
モスクワの若い画家はターナーを論評してる
エルサレムの商人は夢見るように噴水を眺めてる
ボンベイの婦人は鳩に餌をやってる
ホンコンの留学
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