みせもの/……とある蛙
に重さは無く
その空間との摩擦のみが
その重さの実体であること
それとなしに感じさせる
空間の外側にいる心の有り様は
その光の粒を取り込もうと足掻いている
街灯の下 別世界
二色に色分けされた男の身体の前で
剣玉が浮遊している
水に浮かぶ木の葉のようであったり
風に吹かれた風向計であったり
目を離した隙に、剣玉は消えて
黒と赤の二色が、街灯に反射する。
男は逆立ちして数歩
こちらに顔を向け、にやっと笑った。
そして、口から黄金の光の粒を吐き出しながら
こう言った
あっという間だったな。
あっという間だったな
俺は逆立ちに目の前にいる男に
こう言った
あっという間だったな
あっという間
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