道端アポロニア「ザッケロー煮」/
花形新次
三浦半島沖の深海で取れた
ニホンケリタマウオ(通称 雑気郎)を
三崎の朝市で見つけた
明日は単身赴任先から月一回
夫が帰宅する日だ
普段コンビニ弁当ばかり食べている
夫に自慢の腕をふるうつもりだ
雑気郎はその雑味だらけの身を
有りとあらゆる調味料で
魚自体の味が分からなくなるまで
煮込むのがこつ
夫はいつも
美味しい美味しいと
骨までしゃぶる
馬鹿みたい
(道端アポロニア詩集「夫は単身赴任中」より)
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