ホット・スタッフ/ホロウ・シカエルボク
 
病院だった、「ああよかった」と看護師が言った、「三日間眠り続けていたのよ」何がどうなってるんだ、と俺は尋ねた、お友達と車で事故にあったのよ、と看護師が教えてくれ、ああ、と思い出した、二人は大丈夫なのかな、と俺は尋ねた
「二人?あなたとお友達ってこと…?」
「違うよ、女が居ただろ、彼女が急にハンドルに飛びついたんだ、それで…」
ねえ、と看護師が俺の言葉を遮った
「車に乗っていたのは、あなたと、あなたのお友達だけだったわ、あたりも捜索されたけど、他には、誰も見つからなかったわ…」
俺は、そんなはずは、と言おうとしたが、言葉が出なかった
「お友達は、残念ながら…」


死体置場で裸になって、この世のよろこびを歌おう、死はミシン針のように、俺たちを闇に縫いつけようと狙っている、眼をいっぱいに開いて、そいつにだけは捕まっちゃいけない、そいつにだけは捕まらないように、きちんと生を見つめていないと…


俺は薬臭いベッドで目を閉じた、あの、首を吊ろうとした女の冷たい目線が、俺を覗き込んだような気がした…











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