少年の話/小原あき
 
になった少年を
起こしに行ったとき
おじいさんになった少年は
眠ったように死んでいたのでした

おじいさんになった少年の子供たちは
盛大なお葬式をしました
子供たちがそうしたのではありません
今までおじいさんになった少年に
水を譲ってもらった人たちが
続々と葬儀に参列したのでした

そのときみんな
おじいさんになった少年の種に
水をあげたのです

それはそれはたくさんの
涙でできた
きれいな水でした

すると
今までかさかさだった植木鉢の土が
みるみる潤い
小さな芽がすぐに出てきました
芽が出たと思ったら
みるみる大きくなり
空まで届きそうな高さにまで伸びました
そして大きな大きな太陽のような
黄色の花が咲きました

そして、その花は
いつまでも枯れることなく
みんなを照らし続けているのです





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