少年の話/小原あき
 
生まれたときにもらった種に
水をあげようと
じょうろに
たくさん水を汲んでいた
少年がいました

だけど、少年は
水を汲んだ帰り道に
少年と同じように
植木鉢に水を欲しがっている
おばあさんと出会ったので
じょうろの水を
全部おばあさんにあげました

からっぽのじょうろを抱えた少年は
夕日を見ながら
明日、また汲みに行こうと考えたのでした

次の日は
可愛い小さな女の子にあげました
その次の日は
同じくらいの年頃の男の子にあげました

赤い夕日の中
いつもからっぽのじょうろを抱えたまま
明日、また汲みに行こうと
少年は考えるのでした

少年の
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