可能性の地獄/yamadahifumi
落したと感じて、最初からすねて、脇道でお茶を飲んでいるものもいる。しかし、どちらも決して理想の幸福に手がとどく事はない。彼らの人生は失敗だった。不幸だった。そしてその思いはルサンチマンに化け、そして攻撃的な意志が世界を包む。世界中で今、ナショナリズムが昂揚している背景には、そういう事も多分に関係していると僕は思う。不幸は、他人への攻撃意志と転化され、そして実際にその攻撃は始まる。もう嘆いても遅いのだ。賽は投げられた。こうして世界は己の欲望を律する事ができずに、破滅に進んでいく。
『可能性の地獄』。その問題は今の僕達を包んでいる。僕達にはあらゆる事が可能なのだが、しかし、あらゆる事が可能
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