僕は意識的に失おう/あかり
 

錆びた両手で 砂をすくう
そんな行為を繰り返すうち
僕は生きることも死ぬことも忘れ
ただ こうして 此処、という場所にいる


世の中には 神様があふれかえっていた
それぞれを信仰するもの同士が争い
ひとつ、またひとつ 命が奪われてゆく
一体僕等に 何をしてほしいというのか


愛、という言葉をなんとなく口にする
その薄っぺらさが丁度いいのだ、と君は言う
それとは裏腹に 留め金のきかない性欲
僕はいつも戸惑いながら 君を抱く


吐き出す息のその白さ
見つめる眼のそこ黒さ
クリアにうつる 冬 という季節を
ただ必死に 堪え続けている



難しいことじゃない

考えるのをやめればいい
考えるのをやめればいい、という考えも やめればいい


目を

耳を

声を

それらをつかさどる あらゆる感情を

僕は意識的に失おう






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