梅雨/蒲生万寿
 
買取り

閉じ籠ることで安心が得られるとの嘘の情報で



まんまと騙され

手枷足枷をはめられた

一角の奴隷に成り下がることを

自ら選んだ









この世の生きとし生けるものの上に

等しく降る雨

背の高い木から

路傍の花まで

未だ雪を頂くアルプスの山々から

小波が小石を洗う渚まで

雨の一粒一粒が

季節に変化を促す



私たちにも情緒を与え

ここに一編の詩を歌わせる



言葉を紡ぎ

心の襞に滑り込ませ

気付かせる



私は私であったもの
[次のページ]
戻る   Point(1)