梅雨/
蒲生万寿
買取り
閉じ籠ることで安心が得られるとの嘘の情報で
まんまと騙され
手枷足枷をはめられた
一角の奴隷に成り下がることを
自ら選んだ
この世の生きとし生けるものの上に
等しく降る雨
背の高い木から
路傍の花まで
未だ雪を頂くアルプスの山々から
小波が小石を洗う渚まで
雨の一粒一粒が
季節に変化を促す
私たちにも情緒を与え
ここに一編の詩を歌わせる
言葉を紡ぎ
心の襞に滑り込ませ
気付かせる
私は私であったもの
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