うどく/ねなぎ
昨日があると言う錯覚
穿つような音に
境界が曖昧となるので
濁った空から
搾り取られたような
抜け殻が
濡れ鼠で歩いているのです
ブレたままの匂いに
意識を擦り合わせれば
輪郭だけは
微かに漂う
連続するが故の流動性
昨日は実は
明日なのでは無いかとの欺瞞
河原は見えずに
排水口に
泥やら稲やらが
纏わり付いて
吸い込まれるのを
見ようとしても
定まらず
ぼんやりとした
不安が
広がるだけなのです
曖昧模糊とした
全てに注がれる音の共鳴を
点を積して線として
収束された軌跡を
形として意識するが
逆に発散し
判然としない
因果による時系列の誤謬
明後日が来るなら
一昨日だったらと言う希望
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