黒点に接ぐエニス/佐久間 肇
 
まま ゆるぎない心を
ラインはここよ、と
遊女たちに あっちへ行って、と

 いいえ 仔猫が2匹3匹とあらわれて
 わたしの爪先に刺さった 針を抜いていく
 遊女たちが ラインを超えて
 鮮やかな色は そのからだと同じように やわらかな色に
 しゅううんと 変わる

(いいえ もとに戻ってゆくのよ)

力いっぱいの いっぱいの加減は
闇のふちで高騰した やかんのなかのお湯のよう
空気圧に押されて 早めに高鳴り
許されるまえに 咲いてしまったのね
むやみやたらに 手を伸ばしてはいけないわ

一輪の花をとおり過ぎて わたしはゆく
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