緑のソネット/
藤原絵理子
泉の底は 緑の湖につながっている
透明な砂 さらさらと音をたてて
樹液の雫 ガラス細工のように
あたしの言葉は 沈黙 拒絶する
森や小川は
たくさんのことを囁きかけ
眉間のあたりが熱くなる
子供の頃 熱にうかされて 見上げた
薄暗い天井の色と ふわっとした
枕の匂い 藁に埋もれたヒヨコみたいに
しあわせと ふしあわせが
際立っていた 森にいた頃 わかっていた
泉の底は 緑の湖につながっている
深い霧に包まれた しあわせは
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