Mirage/ハァモニィベル
 
ちる先から、まろやかに崩れてゆく……。その果てしなく甘く溶け、熟れ爛れて荒涼となった断崖に独り佇む あなたの左に、河は、乳の波涛を湛えて飛沫く。救いは、ただ 肌のようなぬくもりの白さ。漂う砂姫たちは 「けれど、妹ではないのよ」 そう耳元で微笑んで消え、蠢く靄を纏うあなたにひろがる視界。すると、眼の前に画然と亀裂が煌めき、空の裂け目からは純金の砂利が溢(こぼ)れ出す……。だが、岸辺のアナタは、もうそこにいない。

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