戦場/葉leaf
戦場
辺りを見回すと曇った戦場になっていた
地図も何も持っていない
辿るべき道もなければ道を切り開く道具もない
振り返るとそこには文書の山があった
作り笑いをしている顔があった
とりあえず文書と人から地図の書き方を教わる
遠くに目的地の旗が見える
僕の前に地図はない僕のあとに地図はできる
銃弾に怯えながら戦場を走り回り
自分の体で空間を切り開き
自分の頭の中に地図を作り上げる
緊迫した幽霊が僕に憑りつき
銃弾や剣での負傷を比喩した幻想を眼の中に押し込んでくる
僕はいつ襲われるかわからない
そしてこれが一番大事なことだが
僕は武器を持たない
忠実さと謝罪だけ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)