トランジット(窓辺で相変わらず夏が狂っている)/ホロウ・シカエルボク
 
たいな柵が設けられているが、更地の宿命とでも言うべき不道徳なゴミ箱になっている…窓辺で相変わらず夏が狂っている、往来で出会う知り合いたちは、気温と湿度と梅雨の話ばかりしている、携帯にメールが届く、仕事を辞めたと友達、またそのうちと約束して沈黙が帰ってくる、キャンディを舐める、エアコンの設定を変える、生半可な風じゃなんにもならない、ソファーに戻って雑誌を捲る、見に行けなかったライブ・パフォーマンスの記事だけを真剣に読む、そうしてひとかけらが何処かへ去って行く、インターネットの掲示板じゃ今日も、証拠のない実力を誇示したがるやつばかり、自己主張と実力は比例したりなんかしない、学生ときちがいと老人をうらやましいと思うことはない。







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