トランジット(窓辺で相変わらず夏が狂っている)/ホロウ・シカエルボク
 




窓辺で夏が狂っている、顔に滲んだ汗を舐めながらその日最初の食事をした、インスタント・フードのイージーなフレーバー、そんなもので一日のひとかけらが塗り潰されキッチンが乱れる、エアコンの設定を変える、冷蔵庫のボトルのアイスコーヒーを飲む、ようやく冷えてきた身体をソファーに沈めて流れている音楽を口ずさむ、強いピッキングとともに午後のひとかけらが零れ落ちて行く…かけなければならない電話などのちょっとした用事は午前中にすべて済ませてしまった、予定ということに関してだけ言えば、明日が来るのを待つだけだ、睡魔が訪れるけれど夜が来るまではなるべく眠りたくない、周辺のものを軽く片付ける、ずいぶん前に
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