藍桜/BuGACiD
暁に咲く桜の花は
枯れることなく
立ち尽くし
次の春を待っている
願うこともなく
ただ今だけを見て
空に舞った花びらは
堕ちることなく
自らを照らし
心の先を見ている
色褪せることなく
ただ光を目指して
根を張り
蒼蒼と茂る生命の葉
その息吹に触れる度
その体温を感じる度
幸せと切なさを感じるのは
もう繋がることのできない
時が
現実が
春の終りを告げているからだろうか
想いは飛び立ち
朽ちることなく続いていくけど
それでも、尚
目を閉じれば見える
一本の桜を
こうして未だ離せないでいる
暖かな藍色は
空に翔ぶことなく
心に描く人を想っている
静かに
優しく
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