或る芥川賞作家の受賞会見/yamadahifumi
 
。その、平凡こそを至上とする、唯物論と資本主義とメディアの氾濫が結合したこの世界の最上位構成物ーーーつまり、『平凡こそが至高である』というその宗教に対してです。僕はいつもそいつに闘いを挑んできたつもりです。で、この度、たまたまこの芥川賞を取る事になった。まあ、ありがたい話ですがね。ですが、賞なんてどうでもいい。僕が戦わなきゃならなかったのは、このカメラの前で薄ら笑い浮かべている人々、あるいはその目です。僕はその目を突き破りたかった。人々の作ったメリーゴーランドで遊ぶのはうんざりだった。だから、小説を書いた。そして何とか、今日まで生きてこれた。まあ、それだけです。僕のした事は。それをどう評価するかは
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