或る芥川賞作家の受賞会見/yamadahifumi
 
。ですが、彼らというのは何でしょう。結局、書く方法は皆一緒なので、だから後は書く題材だけが重要というわけだ。これだけははっきり言っておきたいのですが、文学において書く題材なんて二の次です。二の次。だからどんな傑作小説だって、プロットだけ取り出すと、生ーー性交ーー死、みたいな簡単なものになる。ですが、文学で大事なのはそれじゃないですよ。そういう事が文学の本質じゃない。セルバンテスを見てください。彼がどれほど、既存の文学に敵意を燃やしたか。ドストエフスキーの人間を描く方法はこれまでとは、全く違います。…考えても見て下さいよ。よく考えれば、馬鹿ばっかりだ。ほんとに。僕を選んでくれた選者には悪いけど、あま
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