ありとあらゆる可能性についての物語/opus
唇の横についたソフトクリーム
すっと拭って舐める
夏の風がスカートを撫でる
チラと見える太ももを
僕は見逃さない
山、
空、
海。
カンカンカン
踏切が降りる
江ノ電が行く
カンカンカン
隣に
大型犬を連れた
小学生くらいの男の子
アディダスの上下のジャージ
「お座り!!」
金魚の目
足下の猫
特有の空
ざわざわと群衆
まだかまだかと
待ちわびている
ガキのよう
風呂敷の中身
隠された秘密
静かな移動
ゆらゆらと漂い、
消え去ってしまう
顔を覆う
小さな手
木漏れる欠伸
「眠い。」
ずっと遠くを見る
ずっと遠くへと続いている
ずっと遠くへと
ぬるい風がふぅと吹く
首筋を撫でて
過ぎていく
手を繋ぎ
家路につく
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