カード/アンドリュウ
なの?」
男はにっこり笑ってカードを洋子に手渡すと
起き上がりスタスタと歩いて森の中に消えていった
洋子は手のなかのカードをじっと見る
薄いピンク色のカードは軽いが丈夫な金属で出来ている
悪い冗談とも思えないのは
いい人認定証と読める文字の下に
坂下 洋子と名前が記され
しかも裏には 本人のみ有効と記されてある
捨てる訳にもいかず 何となくそのままにしていた
その日を境に洋子の生活は目に見えて好転しだした
それがカードのせいだとは気が付かないままに
仕事上でも私生活でも次々といい事が起こった
それは自分の出した企画が認められたり
ただひとり資格試験に受かったり
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