私は美しい薔薇の花/未有花
愛して欲しいと嘆く
私は淋しい薔薇の花
きっと嫉妬で燃えたぎる
炎のような黄色い薔薇
本当は清楚にたたずむ
白い薔薇になりたかった
やわらかくはにかむ
ピンクの薔薇の花でもいい
ただ私を愛してくれる人がいたのなら
静かに花園で微笑んでいられたのに
誰にも顧みられることもなく
気まぐれに振り向いてくれる瞳もないまま
ただ枯れて行くだけの我が身を案じていた
すべての花に平等な庭師でさえ
いつも私の前だけ
忘れたように通り過ぎて行き
いつしか私が薔薇なのか
他の取り得のない花なのか
だんだんわからなくなって行く
けれども身を守る棘だけが鋭くな
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