うたかた/
砦希
どんどん千切って
どんどん金魚を生まれさせた
わたしのこの指のさきっぽが
金魚を生まれさせた
いつの間にか
箱はなくなり
バケツの中には
数え切れない金魚が
ところせましとうごめいていました
泣くことも
叫ぶこともできず
ただ
言いようのない恐怖と
これで火事にはならないという
ほんの少しの安堵
を感じたか
感じていないかのところで
わたしは目を覚ましたのです
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