天職/アンドリュウ
昇給も賞与も最初にきめたとおり守られている
あれからもうすぐ15年になる
15年の間にぼくは結婚して子供もできた
相変わらず仕事は続けているし、その報酬を貯めたお金で小さなマンションも買った
実はあれから一度だけ老人を新聞で見かけた事がある
経団連の会頭がどうのこうのという記事だったようだが
写真はピントがずれててはっきりとわからなかった
そんなことはどうでもいいのだ
ぼくが仕事をしてきちんと報酬が振り込まれることそのことが何にもまして大事なのだ
今ではこれがぼくの天職のような気がしてきた
誰にでも岐路はある それは後から振り返って初めてそう判るのだ
あの日カチャ
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