塔の寓話/……とある蛙
なっていた。
王の言葉で動いた者たちではない。塔の持つ意味は宗教的な成功者であるか、あるいは政治的成功者であるかなど、およそ世俗の立場に関係なく、誰でも塔に登りさえすれば天に至ることが可能だという一点にある。つまり宗教的エリート、権力者一切無関係に、塔に昇りさえすれば昇天できるという思想が建設者たちを熱中させたのである。
しかし、この塔は建設途中で崩壊した。その址は気の遠くなるような時間と共に砂漠の砂となった。崩壊した理由は簡単だ。塔が形をなしてきた段階で建設従事者の一部の集団が独占しようと外の集団を配下に入れようとし始めたからだ。その結果全ての集団がバラバラに塔の利益を享受しようと闘
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