冬のあなた/フユナ
 




あなたの自転車の
前輪ホイールの中に
くたばったハムスターみたいな




鍵をかける
指のやわらかさ
にすら蓋をする
ないことになっている
あたしのこのこい



日本海の真冬は
いつも遠いラピュタのようです
工場の
遠い光
川向こうの
あなたの暖かい家



いずれ崩れるなら
ひどいくらい
鈍感であってください
と缶コーヒーを買う
その背中に
願掛け
すぐ冷めてしまいますよと
言わずに
ただ涙をこぼしたい



忘れようとしても
見事なくらい夢を見ます



こんな
寒くて
あなたの息が、荒い
日は
いつかあなたが

願わざるを得ない
ですよ



いつかあなたが
そしてあなたの





上向いた咽喉仏





あなたの車輪に





いくらこいでも
落ちない

をあたしに
どう綴れと
言うんだか
 
 
 
 
 
 
 
 
   
 
 
 
 
 
 
 

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