もうひとつの端/草野春心
 


  牛乳の空瓶が 端に
  置かれたベンチのもうひとつの端に
  腰掛けていた女は ついさっき
  どこかへ出かけてしまった
  透明な管のなかを、只々
  往ったり来たりしているみたいな風が
  わたしのところで塞き止められる
  ほかになにか
  気にかけることが
  あったはずだ わたしにも もちろん あなたにも



戻る   Point(2)