泉水/
藤原絵理子
あたしはあれから
いくつかの夏を過ごして
青い海の白い波のきらめきに
あなたの面影を想った
あわただしい足音を残して
季節は通り過ぎていくけど
風にさりげなく流れる
あなたの歌は変わらない
うつむいたあなたの前髪を
揺らせる潮風にさえ憧れた
少女の頃に戻れたら
失うことの意味も知らずに
透明な緑のゼリー
透かしてみているあなたの横顔
あたしの肩にそっと
あなたの言葉がとまる
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