アイリス/塔野夏子
アイリス
君を見てきた
誰もが君の姿に
夢や憧れの物語を描くけれど
アイリス
でもきっと誰も
そして僕も
知ることはない
ほんとうの君の
創世記も
黙示録も
それはただ君の中で語られ 記され
君という存在を
静かに深めてゆく
アイリス
誰もがたぶん
その深みからの不思議な輝きを
君の姿をとおして
透かし見ているんだ
そして君をアイリスと名づけ
夢や憧れの物語を描くんだ
アイリス
君を見てきた
誰も知らない君に触れられたらと
叶わぬと知りながら
夢み 憧れて
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