星空に降りていく など五篇/クナリ
<誘い>
どうか、誘ってください
真に受けたりはしないから。
<未練>
あなたのためなら
人形になってもよかった
人形くらいしか
あなたのような人のそばにはいられない
でもあなたは
人形のような人間が大嫌い。
<星空に降りていく>
十二月の曇天の夜
人気を通り過ぎた高速道路
月も星も隠れた空の道に
輝くものは 自分だけ
誰もいない
何も見えない
空中回廊は
闇に続く
もうすぐ 下り道
重力の 手引きが始まる
見える先には 夜の街
まばらな灯りは ぽつりぽつり
まるで 星空のような 夜の街
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