消滅/梓ゆい
 

化石となった指先の感触を確かめて

一口だけ水をすすり

石のような身体を

ほんのかすかに動かす・・・・。

小さな鼓動

腹の中に宿るはずの命

寄り添うはずの男の手

ただそれは

化石の記憶に刷り込まれ

東京の中に消えてゆく・・・・。

無くしたモノと捨てたモノ・・・・。

捨てたモノと無くしたモノ・・・・。

それらは

少しだけ皮肉な顔で

化石を嘲笑う・・・・。



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