消滅/梓ゆい
 
無くしたモノ・捨てたモノ

見えなくなった後で悔いを残し

小さな嘆きを

透明な意識の中に

ふわふわと漂わせる・・・・。

(どうして、こうなった?)

(何故、捨てた?)

(何故・・・・、気が付かなかった?)

からっぽの四畳半

膝を丸めたまま

東京の中で死んでゆく・・・・。

「見えなくなったのは、何だ?」

・・・・ミタクナイ・・・・

鍵がさび付いて

崩れ落ち

私の命も尽きるのだと

ひとかけらの飴玉と引き換えに

化石へと変わる・・・・。

階下の足音

悲しい朝焼け

水滴の落ちる蛇口


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