五月の欠片/nonya
 


光と風の音楽隊の
ゆるやかな旋律が
コンクリートの迷路に
色の音符を落としていく

緑はさざめき
花はときめき
道はほくそえみ
人の睫毛はほほえむ





渋滞したジェットコースターは
緩やかに急勾配を下って
行列を巻き込んだまま
メリーゴーランドは回り続けた

フリーフォールがためらいがちに
黄金週間の裾を引っ張ると
見慣れた夕暮れを背に
観覧車が軋みながら翳った





ハナミズキは散って
ツツジは燃え盛る
まだ幼いアゲハのダンスを
窓辺の猫の目が追い駆ける

こちらにおいでと
そよぐ風の速度に
追いつけな
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