五月の欠片/nonya
*
光と風の音楽隊の
ゆるやかな旋律が
コンクリートの迷路に
色の音符を落としていく
緑はさざめき
花はときめき
道はほくそえみ
人の睫毛はほほえむ
*
渋滞したジェットコースターは
緩やかに急勾配を下って
行列を巻き込んだまま
メリーゴーランドは回り続けた
フリーフォールがためらいがちに
黄金週間の裾を引っ張ると
見慣れた夕暮れを背に
観覧車が軋みながら翳った
*
ハナミズキは散って
ツツジは燃え盛る
まだ幼いアゲハのダンスを
窓辺の猫の目が追い駆ける
こちらにおいでと
そよぐ風の速度に
追いつけな
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