閻魔/opus
 
鼻水たらした餓鬼が
泣いて謝る
たしなめるのも疲れてしまい
目を背ける
自分は悪くない
あいつが悪いと言い続けている

面倒くさいから
わかったと言い
もう行けという
別に何も変わりはしないから

その気持ちを察してか、
尚、ごねる
しまいには抱えられて連れられていく

餓鬼は
とても不細工だが
愛想が良い
口ぶりは
ハキハキとしている
轢かれた猫を見つければ
墓を作り
涙を流す

「私は悪くない」

瞬間、
叫び声が発せられる
餓鬼が抱えた者の
耳を噛みちぎったのだ

目を血走らせ
歯を剥き出し
口から血を滴らせながら
こちらを見て
餓鬼は言う

「お前を呪ってやる」

怖すぎるから、
さっさと連れていってもらった




戻る   Point(1)