ひとつ かたわら ?/木立 悟
ふたたびが
ふたたびをくりかえし
起こる風が
花を揺らす
ふと 指が
虫の羽の陰をすぎる
そのあいだは
切り落とされたように感覚が無い
季節を剥がし
捨てる力が
曇に落ちて
巨大な虹の紋をつくる
むらさきが緑を透る径
帰らない指のために
ひらかれていた窓もやがて閉じられ
たくさんの灯のなかのひとつになる
金属の轍が
暗がりに浮かび
行方を横切るものの背を
傷に渦に染めてゆく
雨のあとの光が
径の上に径を描き
そのままの夜を映している
曇を放す曇 地に消える曇
むらさきのなかの緑の目
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